本、読んでみない?

紙の本をこよなく愛する読書マニアによる読書のススメ!本、読んでみない?

決して会えない切ない恋「東京少女」

皆さんこんばんは!

 

今日は久々の恋愛モノです。

 

恋愛モノって

最近だと映画のノベライズ版や

漫画の文庫版

映画の原作

など、割とメディアに

取り上げられやすい気がします。

 

みんな、好きですもんね!笑

 

ただ、私はあまり表には出ない

ひっそり売られている本の方が

掘り出し物もたくさんあって

なんとなく好きです。

 

今回紹介する本も

最近はあまり本屋さんで

見かけなくなったよくな・・・

それでも内容は簡単で読みやすく

そして心に残るものがあるものです。

 

偶然落としたケータイが

階段から落ちてタイムスリップ。

 

落ちた先は、文明開化後の日本

明治を生きる人たちの中には

日本文学界でも

著名な人物が多数存在しました。

 

偶然落としたケータイを

偶然拾ったのは

かの有名な、夏目漱石

 

 

ではなく、

夏目漱石の門下生の

時次郎と名乗る人物でした。

 

昼の月が出る日だけ

電波がつながる不思議なケータイから

奇跡の恋が始まります。

 

「東京少女」

 

 

1. 始まりはケータイ小説

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出典: https://tsutaya.tsite.jp/item/book/PTA0000HCIUL

 

作者: 林誠人・笹原ひとみ

刊行: 2007年11月

 

リンダブックスから刊行されたこの小説は

元はケータイ小説だったようです。

 

ケータイ小説

オンライン上で執筆される小説で

サイトに登録すれば

誰でも書くことができます。

 

ケータイ小説

「恋空」で一気に有名になったように

人気が出れば書籍化されたりもします。

 

「東京少女」もその類ですね。

 

 

2. 「東京少女」あらすじ

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出典: https://www.amazon.co.jp/dp/B001ANDBHA/ref=cm_sw_r_cp_api_i_EamKDbG0PTFNE

 

主人公の未歩は母子家庭で育ちました。

病気で父を失った後

女手一つで自分を育ててくれた母が

突然再婚相手を連れてきます。

 

まだ失った父のことを忘れられない未歩は

母があっさり

他の男を連れてきたことに納得できず

モヤモヤイライラしていた時に

手を滑らせてケータイを落としてしまいます。

 

運悪く階段から落ちたケータイは

手すりをすり抜けて下へ下へ落ちて

そして物音ひとつ立てずに

どこかへ消えてしまいました。

 

最悪な日には、

最悪なことが重なるものですよね。

 

未歩はさらに憂鬱になりながら

落としたケータイに電話をかけました。

 

すると、そのケータイを拾ったと言う人が

電話に出てくれたのです!

 

安心しながら事情を説明するのですが

何やら話が噛み合いません。

 

相手はまるで、

ケータイそのものを初めて使ったような

そんな反応なのです。

 

声は若い男性のものなのに、おかしい。

 

それもそのはず。

電話口の男性は

夏目漱石の門下生で

時次郎と名乗ったのです。

 

夏目漱石と言えば、明治時代の人です。

 

未歩のケータイは

こうして明治時代にタイムスリップし

決して会うことの叶わない

切ない恋のキッカケになったのです。

 

 

3. 決して会えない恋

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未歩が落としたケータイは

お互いの世界で

昼間に月が出ている時だけ繋がりました。

 

時次郎と電話をすることが

いつしか楽しみになっていた未歩は

決して会えないその人に

いつしか恋に落ちていました。

 

ふたりは会えないけれど

同じ東京に住んでいます。

 

電話をしながら

同じ場所を歩いてデートをしたりします。

 

しかし、時次郎が実在の人物なのか

正直気になりますよね。

未歩は文学史の資料を漁り

時次郎の名を探しました。

 

そして知ってしまうのです。

時次郎の活躍と

時次郎の最期を。

 

ここからは、せっかくなので

本編を読んでみてください。

 

原作のケータイ小説でも

映画でも構いません。

(映画化されたんですよ!)

 

決して会えない二人が

それでもお互いを思って

それぞれの時代で

できることをやる。

 

そしていつしか時が流れ

思いもよらぬ形で

目の前に好きな人の残滓が現れるのです。

 

タイムスリップ系で

本人ではなく、何かを媒体にして

過去の人と通信するパターンは

あまりない気がします。

 

そしてこの究極の切なさ。

堪りません。

 

会いたいのに会えない。

でもどうにかして想いを形にしたい。

 

ネットワークが発達し

いつでも誰にでも

メッセージを送れるこの時代では

もうなくなってしまいましたが

 

相手を思いながら手紙を書いたり

相手に会えない時間に愛を育んだり

 

そんな素敵なことが

珍しくなってしまった現代は

便利さの代わりに

何かとても大事なものを

失ったような気がしてならないですね。

 

人を想うことの素敵さと

誰のために必死になれる強さを教えてくれる

「東京少女」、ぜひ読んでみてください。

 

 

それでは、今日はここまでにしましょう。

次の作品はせっかくなので

夏目漱石でもいきますか!

 

久々の文学ですが

つまらないと思わずに

お付き合いいただけますと嬉しいです。

 

お楽しみに!

 

東京少女 (リンダブックス)

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