本、読んでみない?

紙の本をこよなく愛する読書マニアによる読書のススメ!本、読んでみない?

父と息子の絆。「木曜日の子ども」

皆さんこんばんは!

今週もお疲れ様でした。

 

今日はミステリーを紹介する日ですね!

この本は偶然テレビで特集をやっていて

面白そうだったので読んでみました。

 

再婚をきっかけに家を引っ越し

新しい家族と新しい生活を始める主人公。

 

妻の連れ子の晴彦は

14歳という難しい年頃で

父親としてどう接するのがよいかが

もっぱらの悩みでした。

 

前の学校で酷いいじめにあっていたこともあり

晴彦にはせめて家では

自由に、好きにしてほしいけれど

真面目な晴彦は家でもしっかりもので

母親を支えるよくできた息子でした。

 

そんな晴彦が

かつて世間を騒がせた

無差別殺人事件の犯人と

顔がよく似ていると

強烈な事実が発覚しました。

 

新天地での主人公と晴彦の生活は

どこへ転がっているのか。

 

「木曜日の子ども」

 

1. 「木曜日の子ども」あらすじ

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出典: https://www.kadokawa.co.jp/product/321411000080/

 

作者: 重松清

刊行: 2019年1月

 

重松清のイメージは

家族愛であったり

友人関係であったり

割と人との関わりにフォーカスしているような

印象がありました。

 

今回はミステリーではありますが

 

主人公が父親として

どう息子に接していくか

 

が描かれています。

息子のことを知れば知るほど

見え隠れする事件の断片。

 

息子が無差別殺人事件の犯人に

似ているというだけで

心をざわつかせる町の人々。

 

父親として

息子を信じたい気持ち反面

どうも拭いきれない違和感が

いつも晴彦から漂っています。

 

事件の尻尾を掴んだきっかけは

コンビニで若者たちが手に取った

漫画雑誌でした。

 

挟まれた紙切れ

「ウエダサマ」と呼ばれる教祖。

 

この事件はいったい

どこに向かっているのでしょうか。

 

 

2. 事件は思わぬ方向へ

 

偶然手に取った漫画雑誌に

仕込まれていた紙切れは

「ウエダサマ」からの

メッセージでした。

 

かつて無差別殺人事件を起こした犯人、

上田祐太郎は

すでに社会復帰を果たしており、

同志を集める活動をしていると

若者の中で噂されていました。

 

ウエダサマからのメッセージを

偶然受け取ったものが

神様に認められた特別な人間。

 

メッセージはそんな風に

捉えられていたのです。

 

まさか元犯罪者の上田が

また同じことをするとは

考えられない主人公でしたが

晴彦の報告を聞いて

更に疑惑を加速させました。

 

僕、友達ができたんだ。

 

息子から聞けば嬉しい言葉が

なぜか震え上がるほど

恐ろしい言葉でした。

 

いじめられていた晴彦に

突然友達ができた。

 

それは、つまりウエダサマから

メッセージを受け取ったのではないか

そんな考えが心にのしかかりました。

 

信じたくない。

でも事実を知らなければならない。

 

主人公はついに、

事件を独自捜査することに決めました。

 

 

3. 父と息子

 

このミステリーの結末は

ここではお話ししませんが

主人公と晴彦が

やっと父と子としての関係を

スタートすることができた。

ということだけは

お察しかと思いますので

お話しさせていただきます。

 

息子を知れば知るほど

事件に脚を突っ込んでいく主人公。

 

それでも最後まで

主人公が考えていたのは

晴彦のことでした。

 

父として自分はどうあるべきか

どう接するべきなのか

晴彦に何をしてあげられるのか。

 

自分が父親として

晴彦に何もしてあげられていないと

悩む主人公ですが

息子のために危険を犯すその姿は

 

立派な父親以外の

何者でもありませんでした。

 

そんな父の姿に

心を動かされた晴彦も

父の心を受け止めて前に進みます。

 

ミステリーを題材にしながらも

父と子の物語を描いた

「木曜日の子ども」

ぜひ、お手に取ってみてくださいね。

 

それでは今日はここまでにしましょう。

次回も心温まるミステリーを紹介します。

 

お楽しみに!

 

 

木曜日の子ども

木曜日の子ども