本、読んでみない?

紙の本をこよなく愛する読書マニアによる読書のススメ!本、読んでみない?

人の縁こそ人生の歯車。「夜は短し歩けよ乙女」

皆さんこんばんは!

元旦の夜はいかがをお過ごしでしょうか?

せっかくのお正月なので

美味しいものやお酒を楽しむ

絶好の機会ですよね!

 

今日ご紹介する本も

すばりそんなあなたにぴったりの作品です!

 

京都の河原町駅から

清水寺方向へ歩いていくと

先斗町と呼ばれる飲み屋街があります。

 

先斗町に入り込めば

百鬼夜行。もとい個性豊かな人たちと

お近づきになる絶好のチャンスが訪れます。

 

夜は短し歩けよ乙女

 

1. 森見登美彦と京都

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出典: https://www.amazon.co.jp/夜は短し歩けよ乙女-角川文庫-森見-登美彦/dp/4043878028/ref=nodl_

 

森見登美彦は、京都を舞台にした作品を

多く執筆しています。

以前紹介した「四畳半神話大系」も

そのひとつですね!

 

しかし森見登美彦奈良県生駒市出身で

京都大学に進学するものの

これといって京都を愛していたわけでもなく

もちろん自身を京都人だとは

思っていませんでした。

 

京都に住んでいることを活かそうとさえ

していなかった森見登美彦ですが

「四畳半神話体系」を刊行後

京都×学生×不可思議現象

という組み合わせが

思いの外ヒットしたことで

京都を舞台にした学生の不思議物語を

執筆するようになったそうです。

 

確かに、京都という場所は

歴史的な背景も相まって

不思議なことが起こったとしても

なんだか受け入れやすそうな気がします。

これで仮に東京や大阪に置き換えてみても

 

・・・。

 

なんだか胡散臭くなりますね。笑

 

そういうわけで、

今回紹介する「夜は短し歩けよ乙女」も

先斗町に迷い込んだ女子大生を中心に

不可思議現象が勃発し、

そして恋の歯車が動き出します。

 

 

2. 「夜は短し歩けよ乙女」あらすじ

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出典: https://movies.yahoo.co.jp/movie/359118/

 

冴えない男子大学生の主人公(先輩)は

クラブの後輩に恋に落ち

「黒髪の乙女」と仮称をつけ

ナカメ作戦(ナんとかカのじょのメに留まる)

日々実行する毎日を送っていました。

 

特に取り柄もなく

大学院に進学することで

就職活動を先送りしている

なんとも言えない冴えなさっぷりですが

黒髪の乙女は違います。

見目麗しい黒髪の乙女は

大のお酒好き。

そして好奇心旺盛。

加えてコミュ力ありとくれば

そんじょそこらの男子学生なんて

きっと相手にされませんね。笑

 

 

さて、物語は木屋町で行われた飲み会後

飲み足りない黒髪の乙女が

先斗町に足を踏み入れたところから始まります。

 

まず入ったのはバーだったのですが

そこに東堂さんと呼ばれる

ただのスケベ親父がいました。

 

「偽電気ブラン」というお酒を紹介する東堂さん。

興味をそそられる黒髪の乙女。

東堂さんのセクハラを止める羽貫さん樋口さん

 

1軒目からまさにカオスです。

 

次に向かったのは「詭弁論部」の飲み会。

こちらは羽貫さんと樋口さんと3人で

飛び込み参加して

たらふく飲みまくります。

 

そのあと、

「偽電気ブラン」をどうしても飲みたい

黒髪の乙女は李白さんの元を訪れ

飲み比べに勝利します。

 

大酒豪の黒髪の乙女ですが

この日の出会いで

恋の歯車が動き出すのでした。

 

 

3. 人の縁こそ恋の始まり

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出典: https://promo.kadokawa.co.jp/feature/yoruhamijikashi/

 

先斗町での飲み会のあと

先輩は至るところでナカメ作戦を実行します。

 

ある時は古本市

ある時は学園祭

 

そしてナカメ作戦の効果かどうかは

定かではありませんが

ふたりを巻き込んで

すったもんだの騒ぎが起こり

徐々に関係が深まっていくのです。

 

そして極め付けは

李白さんが病原体となって蔓延した風邪。

 

なぜか流行病に強い黒髪の乙女ですが

最近街中でよく出くわす先輩に

なかなか会わないことに気づき

風邪薬を買ってお見舞いにいきます。

 

お見舞いまでの道のりで

李白さんの咳で竜巻が発生するという

今世紀最大の珍事件が起こるのですが

結果ふたりの距離はさらに縮まったのでした。

 

 

 

先斗町の飲み歩きで

出会った人たちが

結果的に先輩と黒髪の乙女の関係を

深めるきっかけとなりました。

 

人生どう転がるかはわかりませんが

人の運命を変えるのは

いつだって人なのです。

 

新しい出会いが連鎖となって

あなたの人生の

ターニングポイントとなるかもしれません。

 

2020年、

新たな出会いを大事にしてみる年にしてみては

いかがでしょうか?

 

それでは、今日はここまでにしましょう。

次回もお楽しみに!

 

 

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

 
夜は短し歩けよ乙女

夜は短し歩けよ乙女

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大切なのは心で見ること。「星の王子様」

皆さんこんにちは!

今日で2019年も終わりですね。

今年はどんな年でしたか?

個人的には

今年は新しいことに挑戦した一年でした。

このブログもそのひとつです。

1冊でも、あなたの心に響いた本があれば

書き手としてはこの上なく嬉しいです。

 

さて、今年の最後を飾る本は

やっぱりこの1冊。

 

誰の心にも

この小さな王子様がいて

当たり前の日常に

少し光を当ててくれます。

 

光が当たったその場所は

見えなかったものを浮かび上がらせます。

 

あなたは、

何を見つけますか?

 

どんなものを

見つけたいと思いますか?

 

The Little Prince

星の王子様

 

1. 作者の紹介

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[出典: 絵本 星の王子さま https://www.amazon.co.jp/dp/408299016X/ref=cm_sw_r_cp_api_i_YWXcEbFEJP6GB]

 

アントワーヌ・マリー・ジャン=バティスト・ロジェ・ド・サン=テグジュペリ

(Antoine Marie Jean-Baptiste Roger, comte de Saint-Exupéry)(1900-1944)

彼はフランス生まれのパイロットです。

 

26歳で作家デビューを果たし、

自身のパイロット経験を反映した作品を

執筆するようになります。

 

のちにその作品は

第二次世界大戦時の敵兵にさえも知れ渡り

彼とは戦いたくないと思った者も

多くいたと言われています。

 

そんなサン=テグジュペリ

フランス-ベトナム間の

最速飛行記録に挑戦している際

エンジンの故障でサハラ砂漠に不時着します。

 

この時のエピソードが

星の王子様の冒頭部分

つまり、星の王子様との出会いとして

描かれています。

 

サハラ砂漠という何もない場所で

ひとり壊れたエンジンと格闘した彼。

不安と絶望と死への恐怖。

そんな中で出会った星の王子様は

いったい彼に何を与えたのでしょうか?

 

 

2. 「星の王子様」あらすじ

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[出典: https://www.amazon.co.jp/星の王子さま-翻訳単行本-アントワーヌ・ド-サン-テグジュペリ]

サハラ砂漠に不時着したサン=テグジュペリ

突如現れた星の王子様に

「僕にひつじの絵を描いて」

とお願いされました。

 

ひつじを描いたことなどなく、

何度か試してみたものの

星の王子様の満足のいくひつじは描けません。

 

彼は諦めて

ひつじが入っている箱を描きました。

 

この箱の絵を見た星の王子様は

 

これがまさに

自分の欲しかった絵だ

 

と告げました。

 

 

 

 

 

一体これが何を意味するのか

お分かりでしょうか?

 

 

 

 

 

星の王子様は

名もなき小さな惑星に住んでいました。

 

その小さな惑星に

突然咲いた一輪の美しい花。

彼女は自分に謙遜することなく

その持ち前のトゲと強い心で

王子様を圧倒します。

 

それは王子様にとって

初めての出会いで

初めての感情で

その横柄な態度にばかり気がいって

大切なことを見逃していました。

 

なぜこの花がこんなに美しいのか。

なぜトゲがあるのか。

 

なぜこんなにか弱そうな花が

いつも強がっているのか。

 

惑星を離れて旅に出ることに決めた王子様は

ひとつの大事なことに気がつきました。

 

花を目で見るのではなく

心で見るべきだった。

 

 

美しくか弱く、そして強がりなその花は

惑星にたった一輪で残って

旅に出る王子様を見送りました。

 

 

 

旅に出た王子様は

とても面白い人たちに出会いました。

 

王様、うぬぼれ男、酒飲み、ビジネスマン、点灯夫

 

皆、何かに没頭し、

そして何かを失っているように見えました。

 

なかなか友達になれる人がいない。

そんな時に着いたのが地球でした。

 

とても美しいその惑星に

降り立って目に入ったのは一面の砂。

出会えたのは蛇と花。

 

人が溢れかえるこの惑星で

誰にも会えない。

 

なんでも手に入るこの惑星では

なんにも手に入らないように見えました。

 

そんな時に出会ったのがキツネでした。

自分を飼い慣らしてと懇願するキツネが

王子様にまたひとつ大切なことを教えてくれました。

 

王子様がキツネを飼い慣らせば

小麦を食べないキツネでも

金色に輝く小麦畑を見つけたら

王子様の金の髪を思い出す。

小麦畑に吹く風を好きになれる。

 

人やモノで溢れかえるこの世界は

絆をつくることで見え方が変わる。

それは目で見えるものが変わったのではなく

あなたの心がそうさせている。

 

王子様の惑星に咲く花は

バラと呼ばれる美しい花で

この惑星に数え切れないほど咲いています。

しかし、王子様の知るあの花は

王子様だけが知る唯一のバラです。

そこにあのバラとの絆があったのです。

 

遠く離れたバラのことを

王子様は考えました。

 

 

3. 見えぬものこそ

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[出典: 星の王子さま https://www.amazon.co.jp/dp/4592761219/ref=cm_sw_r_cp_api_i_11XcEbDF3RR0S]

 

星の王子様は

誰しもの心に存在して

当たり前の中に光を差し込みます。

 

今まで目で見ていた世界を

心で見てみると

不思議と世界が変わって見えます。

 

目の前のものに囚われて

本質を見出せなくなった哀れな現代人に

サン=テグジュペリ

星の王子様を通して問いかけます。

 

見えぬものにこそ

あなたにとって本当に大切なものがある。

 

あの王様にも

うぬぼれ男にも

酒飲みにも

ビジネスマンにも

点灯夫にも

 

目の前のもの以上に大切な何かがあるはず。

 

今一度、自分に問うてみてください。

あなたの時間を費やして

成し遂げようとしてることは

あなたにとってどんな価値がありますか?

 

あなた何を

与えてくれますか?

 

2019年を振り返る

ちょっとしたヒントになれば幸いです。

 

来年も良い年でありますように。

そして新春最初の本は、

京都を舞台にしたあの本。

 

ぜひ、先斗町に行きましょう!

 

それでは、良いお年を!

 

星降る夜の分かれ道。「銀河鉄道の夜」

皆さんこんばんは!

随分お久しぶりですね。

しばらく更新しておりませんでしたが・・・

せっかくの年末なので、この時期にぴったりな本を紹介します!

 

 大晦日の夜、除夜の鐘を聞きながら

神社にお参りに行かれる方も多いと思います。

 

その時、ふと空を見上げてみてください。

そこにはきっと

冬の空を彩るオリオン座が目に留まると思います。

その奥には、東京の空では見えませんが

光の奥に隠された銀河があります。

 

銀河をかける列車。

ジョバンニとカンパネルラの旅は

銀河鉄道とともに始まります。

 

宮沢賢治代表作

銀河鉄道の夜

 

 

1. 宮沢賢治の紹介

 

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https://www.amazon.co.jp/銀河鉄道の夜-宮沢-賢治/dp/4898152783

宮沢賢治という小説家をご存知でしょうか?

日本人なら誰で

一度はその名を聞いたことがあると思います。

 

宮沢賢治(1896-1933)

岩手県花巻生まれ。盛岡高等農林学校を卒業しています。

文化人が農林学校卒ということに若干の違和感がありますね。

しかし農業を通して岩手県の農民の現実を知り

農民の生活向上に向けたれ活動した経験

彼の文学の礎となったと言われています。

 

また、身体の弱かった幼少期にった日蓮宗の教えから

人のために生きることの尊さと生きがい知り、

自分が生まれた意味を見出すことができたそうです。

教師となった宮沢賢治

子どもたちに「人のために生きること」の大切さを

伝えたいと思い、童話という形で物語を執筆します。

 

生前、宮沢賢治が発表した作品は2作しかなく

現代で評価されたものはほとんどが生後に発表されました。

今回紹介する「銀河鉄道の夜」もそのひとつですが

彼が伝えたかった大切なことが

しっかり刻まれた作品となっています。

 

今年の最後に読む本として

そっとページをめくってみませんか?

 

 

2. 「銀河鉄道の夜」あらすじ

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物語の主人公、ジョバンニ

孤独を抱えた少年でした。

病気の母と、家族を養うために漁出てほどんど家に帰らない父。

心の拠り所は幼馴染のカムパネルラのみでした。

 

ジョバンニの身の上は、学校でいじめを受けるには十分な理由で

特にクラスメイトのザネリは

いつもことあるごとにジョバンニをからかっていました。

 

いじめられっ子で孤独なジョバンニが

銀河鉄道に乗り込んだのは

星祭の日の夜でした。

 

牛乳配達を終えて広場に戻ると

そこにはカムパネルラの姿が。

話しかけようした矢先に

いつものようにザネリ達が

ジョバンニをからかってきたのです。

いてもたってもいられなくなったジョバンニは

誰もない丘へ逃げ、夜空を見上げるように寝転びました。

 

「銀河ステーション、銀河ステーション」

 

その声が聞こえた時

ジョバンニは銀河鉄道に乗り込み

サザンクロスまでの旅に出たのでした。

 

 

3. 描かれた「生」と「死」

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ジョバンニが乗り込んだ銀河鉄道には

なぜかびしょ濡れのカムパネルラも乗っていました。

 

親友がいることに喜びを隠せないジョバンニと

静かに銀河鉄道に揺られるカムパネルラ。

 

ふたりを乗せた銀河鉄道

白鳥座から南十字座までを静かに走っていくのでした。

 

停車駅で出会う人々は、

発掘現場で働く大学士や鳥取り、サソリの話をする少女など

様々な人が乗り降りします。

 

彼らとの交流を通して

孤独を抱えた少年は、「生」について考え

自分が生まれた意味「生きがい」を見つけていきます。

 

一方でカムパネルラは、物語の後半で懺悔を始めるのです。

今はもういない、母に対して。

 

カムパネルラは

ジョバンニをいじめるザネリが川へ落ちそうになったところを

身を呈して救ったことで、銀河鉄道の乗客になりました。

 

命を落としたことが果たして正しかったのか。

母の思う「人のために生きる」ことに当てはまっていたのか

カムパネルラは自分の生き方に自信がもてなかったのです。

 

懺悔の念を抱えたカムパネルラは

それでも銀河鉄道の旅を通じて、

天上の母の姿に合間見えることができました。

それはまるで母が

自分を天上へ迎えてくれているかのようでした。

初めて自分の生き様に自信が持てたカムパネルラは

ジョバンニが気づかない間に

銀河鉄道から姿を消していました。

 

 

人のために生きようと心に決めたジョバンニと

人のために生きたことに満足して死んだ命カムパネルラ。

 

 銀河鉄道を通して

宮沢賢治が伝えたかったことは

まさに彼が生きる理由「人のために生きることの大切さ」でした。

 

銀河鉄道を降りて

現実に戻ったジョバンニは

カムパネルラがもういないことに気づくでしょう。

 

孤独を抱えた少年が

それでも人のために生きようする。

 

その人生がどのようなものになるのかは

読者の想像にお任せすることになります。

 

きっとジョバンニは

もう己の不幸を嘆くことをやめ

目の前の人のために

何かしようと必死になれる

そんな素敵な人になっていると信じて

今日はここまでにしましょう。

 

2020年、どのような未来が訪れるかはまだわかりませんが

宮沢賢治の教えを知った今

少しでも他者に、世界に優しくあれるような

そんな毎日を送れますように。

 

銀河鉄道の夜

銀河鉄道の夜

 
銀河鉄道の夜

銀河鉄道の夜

 
銀河鉄道の夜 (角川文庫)

銀河鉄道の夜 (角川文庫)

 

 

 

 

 

 

 

美しさに隠されたリアリズム「世界の真ん中の木」

皆さんこんばんは!

 

今日も絵物語の紹介です。

 

前回は宮崎駿監督作品の

シュナの旅」でした。

THE ジブリって感じの絵に内容。

宮崎駿監督作品なんで当たり前ですが笑

 

今日紹介する絵物語

ジブリにゆかりのある方の作品です。

 

二木真希子

 

宮崎駿監督と共にジブリ作品の制作に関わった

イラストレーターさんです。

 

今日は二木真希子作品

「世界の真ん中の木」を

紹介します!

 

1. 「世界の真ん中の木」あらすじ

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出典: 世界の真ん中の木 (アニメージュ文庫) https://www.amazon.co.jp/dp/4196696228/ref=cm_sw_r_cp_api_i_y.mSDb3PZX43D

 

貧しくも自給自足の生活をするシシは

ある日、空に羽ばたく金色の鳥が

世界の真ん中の木の彼方は

飛び去っていくのを見かけました。

 

いつもそばにある巨木。

その果てには一体何があるのか、

シシは好奇心を抑えきれず

金の鳥を追いかけて

木を登ることを決意します。

 

2. 

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出典: 世界の真ん中の木 愛蔵版 https://www.amazon.co.jp/dp/4835456351/ref=cm_sw_r_cp_api_i_rbnSDbYR6QQ15

 

巨木を上へ上へと進むシシ。

途中で出会ったカエルと共に

ぐんぐん登っていきます。

 

旅の途中で出会った異国の少年サマは

同じく金の鳥を探した旅をしています。

 

シシとサマがそれぞれ目指す先は

金の鳥の大きな巣。

 

木のてっぺんまでどんどん進みます。

 

途中で出会う動植物は

地上では見られない種族も多く

この巨木がまるでひとつの世界のようです。

 

弱肉強食の世界で

一は全、全は一の関係性で

均衡が保たれているのです。

 

そんな世界は

上へ上へと進むうちに

どんどん様子がおかしいのです。

 

木々は枯れ、動物は姿を消し

なんだか嫌な空気が立ち込めています。

 

それでも前は進み続けたシシが

金の鳥の巣で見たものは

気が触れた大きな金の鳥。

 

世界を何でも知っているという鳥が

崩壊の一途を辿っていたのでした。

 

 

3. 物語の果て

 

シシの旅は

もちろん木から地上に戻るまで続きました。

てっぺんに行くまでは

木という世界の生態系を知り

降りたときには世界の崩壊を知りました。

 

そしてシシとサマは偶然にも

この木の崩壊を止めることになるのです。

 

世界の真ん中の木に

一体何が起こっているのか。

 

そもそも世界の真ん中の木は

何を意味しているのか。

 

そんな答えを探しながら

ページをめくってください。

 

二木真希子さんの美しく繊細な絵と

何かを訴えかけるストーリーは

子どもから大人まで

すべての人に向けたエールと警告です。

 

シシの旅の先にあるものを

一緒に身に行くのはいかがでしょうか?

 

それでは今日はここまでにします。

次回も木つながりで、

あるファンタジーを紹介します。

 

お楽しみに!

 

世界の真ん中の木 愛蔵版

世界の真ん中の木 愛蔵版

 
世界の真ん中の木 (アニメージュ文庫)

世界の真ん中の木 (アニメージュ文庫)

 

 

 

 

神人の国へ。金の麦を手にした時から。「シュナの旅」

皆さんこんばんは!


今日は絵本を紹介する日です。


絵本と言っても、正確には

絵物語と呼ばれておりまして

文庫サイズで挿絵がふんだんに使われています。


そして今日ご紹介する本の作者は

なんとあの!

 

 

 

 


宮崎駿監督です。

 

スタジオジブリ始まりの作品と言えば

やっぱり風の谷のナウシカですよね。


今日は、ナウシカと並行して手掛けたという

 

宮崎駿絵物語

シュナの旅」を紹介します。

 


1. 「シュナの旅」あらすじ

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出典: シュナの旅 (アニメージュ文庫) https://www.amazon.co.jp/dp/4196695108/ref=cm_sw_r_cp_api_i_zLbSDbKGAWG91

 

シュナは貧しい国の王子です。

土地が痩せ、作物が取れず

このままでは民が飢えてしまいます。


そんな時に、金の麦の噂を聞きました。

なんでも神人の地にある金の麦は

枯れることはなく、

常に穂が育つらしいのです。


民を救うために

シュナはひとり、ヤックルに乗って

神人の国を目指す旅に出ます。


旅の道中は

痩せ果てた土地が続き

廃墟と化した町をたくさん通り過ぎました。

 

そしてやっと着いた大きな国では

奴隷商が栄えており

シュナと同じくらいの年頃の少女が

妹と一緒に荷車に入れられているのを

見つけました。

 

少女たちを助けるため

シュナは荷車を襲撃し

解放されるか残るか、

奴隷たち自身に決めさせます。

 

そして降りてきたのは

少女とその妹だけでした。

 

テパと名乗る少女と共に

シュナは旅を続けますが

神人の国まで行くのはあまりにも危険なので

途中の村でテパたちを残し

ひとりで神人の国に向かいました。

 

見事たどり着いた神人の国では

金色の稲穂があたり一面で揺れています。

 

麦を育てる神人たちが

常に見張っていました。

 

シュナは見張りの目を盗んで

金の麦に触れたところ

突然神人が激怒して襲ってきます。

 

金の麦をむしりとり

命からがら逃げ切ったシュナですが

テパたちのいる村に着いた時

すでにボロ雑巾のような姿になり

 

人としての一切の感情や知識を

無くしてしまっていました。

 

2. テパの献身

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出典: http://www.ghibli.jp/shuppan/old/pickup/shuna/

 

痩せ細ってボロボロになり

自分さえも忘れてしまったシュナを

テパは必死に看病しました。

 

ようやく身体は元には戻ったものの

言葉と感情は戻ってきません。

 

そんなある日、嵐の夜でした。

シュナが取ってきた金の麦が

雨風にさらされていました。

 

嵐の中、シャナとテパは金の麦を守ります。

 

夜が明け、嵐が過ぎ、ホッとしたとき

シャナが

 

テパ

 

と呼んだのです。

言葉を失ったシュナが

最初に発したのが、

テパの名でした。

 

テパは安堵で涙を流しました。

 

3. 旅の終わり

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出典: http://www.ghibli.jp/shuppan/old/pickup/shuna/

 

金の麦を順調に育てて、

十分な蓄えができたところで

シュナはテパと妹を連れて

自分の国に帰ります。

 

たくさんの金の麦を抱えて。

テパと妹とヤックルと共に。

 

シュナの旅

文字で読んでも正直面白くありません。

絵物語に意味があります。

 

宮崎駿の水彩画のイラストは

シュナが生きる世界を

淡白に、でも鮮明に描いています。

 

一度お手に取って

ページをめくってみてください。

きっと最後のページを開くまで

手が止まらないですよ。

 

 

それでは今日はここまでにしましょう。

次回はまた別の絵物語を紹介します。

 

お楽しみに!

 

 

シュナの旅 (アニメージュ文庫)

シュナの旅 (アニメージュ文庫)

 

 

 

 

 

 

 

 

普段は見られない景色がそこにある。「女のいない男たち」

皆さんこんばんは!

 

今日は久しぶりの短編小説の紹介です。

前回はキノの旅でしたね!

 

凄腕パースエイダー使いのキノと

人の言葉を話すモトラドエルメス

様々な国を旅するお話でした。

 

キノの旅のように、短編小説ではあるものの

1つ1つのお話が独立しているのではなく

どこか繋がっているような構造をした小説のほうが

シリーズものみたいで面白いですよね。

 

今日ご紹介する本も同様に、

1つのテーマに基づいて、関連性のある短編が収録されています。

 

では、早速いってみましょう。

 

「女のいない男たち」

 

 

1. 村上ワールドの女と男

 

村上春樹の文学を

読んだことはありますか?

 

どんな小説でも

女と男の関わりが

描写されています。

 

それは見方によっては生々しく

見方によっては美しく

 

その受け取り方は人それぞれです。

 

今回は特に

女と男に

フォーカスした作品です。

 

どちらサイドで読むかはあなた次第です。

この作品は

男から見た女

女から見た男が描かれています。

 

ぜひ、普段は見られない景色を見てください。

新発見があることを期待して

ページをめくっていきましょう。

 

 

2. 「女のいない男たち」あらすじ

 

この本の中には女と男の話が全6篇収録されています。

 

「ドライブ・マイ・カー」

「イエスタデイ」

「独立器官」

シェエラザード

「木野」

「女のいない男たち」

 

どれもこれも男性と女性の話なのですが

いつも必ずどちらかが去ってしまうのです。

 

不倫からの病死であったり

浮気からの半自然消滅であったり

 

男女の付き合いは

いつも真っ直ぐには進まず

どこかぐねぐね回り道。

時々壁や崖が現れる。

 

予測不可能なのです。

 

そんな恋愛模様

男性目線からみた女性の姿が描かれており

男性の読者は共感

女性の読者は新たな発見があるのではないでしょうか?

 

3. 女と男の関係性

 

この小説を読んで思うことは

愛や恋が絡むと

人はどうもこじれだして

余計な考えが脳を支配し

冷静な判断ができなくなるようです。

 

もしくは、恋愛においては

 

間違えられない

最高を選びたい

 

そんな気持ちが強すぎるのかもしれません。

 

人の気持ちは十人十色

そして人の道は複雑難解。

 

いつも最良の選択をしているはずなのに

どこかでかけ間違う。

 

それは至極当たり前のように思えてきます。

 

間違ったっていいから

これが最後にならなくてもいいから

思った通りぶつかって

悩んで

泣いて

それでもその先にある何かに手を伸ばして

泥臭く掴んだ恋愛は

きっと今までと違う景色を

見せてくれるような気がします。

 

村上春樹の文学で

短編集はかなり珍しいです。

 

この貴重なストーリーから

あなたはどんな価値を見出しますか?

 

 

それでは今日はここまでにしましょう。

次は絵本を紹介します!

 

お楽しみに。

 

 

女のいない男たち (文春文庫 む 5-14)

女のいない男たち (文春文庫 む 5-14)

 

 

 

 

 

落ちこぼれ天使と成績不良の悪魔。最強?タッグで事件解決!「天使と悪魔シリーズ」

皆さんこんばんは!

 

今日も引き続き

赤川次郎の紹介です!

 

天使と悪魔シリーズは

それほど有名な作品では

ないかもしれないのですが

 

ツッコミの悪魔とボケの天使

という構図で問題解決していく

そんなコメディ系のミステリーです。

 

ミステリーのハードルが高いという方は

ちょっとは緊張がほぐれましたかね?

 

それでは早速天使と悪魔シリーズの

あるすじから見ていきましょう!

 

 

1. 天使と悪魔シリーズ あらすじ

 

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https://www.amazon.co.jp/天使と悪魔-角川文庫-赤川-次郎/dp/4041497647

1988年から刊行されている

天使と悪魔シリーズは

天国から研修に来た落ちこぼれ天使と

成績不良で地獄からたたき出された

悪魔のお話です。

 

シリーズとしては

 

天使と悪魔

天使と悪魔 天使よ盗むなかれ

天使と悪魔 天使は神にあらず

天使と悪魔 天使に似た人

天使と悪魔 天使のごとく軽やかに

天使と悪魔 天使に涙と微笑みを

天使と悪魔 悪魔のささやき、天使の寝言

 

天使と悪魔は

仮の姿で地上にやってきます。

天使はマリと名のる少女に、

悪魔はポチと名づけられた犬に

それぞれ変身して、降り立った場所が

人の良い刑事が住んでいるマンション。

 

そしてこのマンションで起こった

殺人事件をきっかけに

2人の研修が始まります。

 

人を幸せにする天使と

人を不幸にする悪魔が

手を組んだ時

どんなミラクルが起こるのでしょうか?

 

 

2. もし天使と悪魔なら

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https://www.amazon.co.jp/天使よ盗むなかれ-天使と悪魔-角川文庫-赤川-次郎-ebook/dp/B009TPQWI6


 

もしもあなたが落ちこぼれ天使で

地上で修行することになったら、

 

もしあなたが成績不良の悪魔で

地上に左遷されたら、

 

どんな生活をするでしょうか?

 

天敵とわざわざ手を組んで

面倒な事件を解決する。

 

そんなこと絶対しないと思います。

しかしそれでも

誰かひとりでも仲間がいれば

それは心強い味方になります。

 

ひとりでは解決できない問題も

誰かと一緒なら解決できます。

 

もしあなたが

仕事やプライベートで

嫌いな人と手を組まなければならないとき

嫌う前にちょっとだけ思い出してほしいのです。

 

マリとポチのことを。

 

落ちこぼれと成績不良という最悪の組みあわせが

次々と事件を解決する様を。

 

きっとその姿は

あなたを勇気づけてくれると思います。

 

天使と悪魔のドタバタコメディミステリー

ぜひお試しあれ!

 

 

それでは今日はここまでにしましょう。

次回はミステリーから離れて

短編小説でもいってみましょう!

 

 

お楽しみに!