本、読んでみない?

紙の本をこよなく愛する読書マニアによる読書のススメ!本、読んでみない?

か弱き少女と少年の大きな選択。「狐笛のかなた」

皆さんこんばんは!

 

31記事目の今回は

初心を忘れない!ということで

1記事目の流れに沿って

上橋菜穂子の作品を紹介したいと思います。

 

上橋菜穂子と言えば、今までに

 

精霊の守り人

「鹿の王 水底の橋」

 

を紹介しました。

 

上橋菜穂子の作品の素晴らしさは

その文章の水々しさ

という話もしましたね!

 

まるで口いっぱいに

果汁たっぷりの果物を頬張ったときに

ふわっと香る爽やかで甘い香り

 

読んでいるとそんな感覚がするのです。

 

今日紹介する本も

もちろん例外ではありません。

 

野原を駆ける狐の足音

草をなびかせる草原の風

 

目の前にありありと広がる

物語の光景を

どうぞお楽しみください。

 

 

1. 「狐笛のかなた」あらすじ

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出典: https://www.amazon.co.jp/狐笛のかなた-上橋-菜穂子/dp/4652077343/ref=nodl_

 

作者: 上橋菜穂子

刊行: 2003年11月

 

舞台は日本。

その昔、呪術で獣を操ったり出来る時代。

 

「聞き耳」と呼ばれる

霊力を持って生まれるひとがいました。

 

聞き耳の才は、木や生き物など

人以外の生き物の声を聞くことができます。

 

主人公の小夜は

12歳の時に誰かの助けを求める声を聞き

夜名ノ森の奥へと足を進めました。

 

すると見つけたのは

怪我をした子狐でした。

 

この子狐との出会いをきっかけに

小夜の運命は大きく動き出します。

 

 

2. 国の争い

 

助けた子狐は

野火と呼ばれる霊獣でした。

 

呪者によって使役され

主人の命令で暗殺を行っていたのです。

 

しかし暗殺に失敗した野火は深手を負い

もうダメだと悟った時に

小夜に救われたのでした。

 

そのことを

野火はずっと覚えていました。

 

そして2人は4年後にもう一度出会います。

2人を引き寄せたきっかけは

春名ノ国と湯来ノ国の争いでした。

 

小夜が争いに巻き込まれた理由は

その聞き耳の能力でした。

 

小夜は一際霊力が強く、

湯来ノ国との呪者が操る霊獣が

この世とあの世(あわい)を通り抜けるために

開けられた闇の戸を

完全に塞ぐことができます。

 

闇の戸は放置すると

あわいに生気を吸い取られ

穴はどんどん拡大していきますし

完全に塞げる人間はほぼいないのですが

小夜のような霊力の強い人間が

敵の春名ノ国にいては、

湯来ノ国の人間は困ります。

 

そこで、小夜の暗殺計画が進行します。

 

命を狙われる小夜を救ったのは

4年前に助けた狐でした。

 

 

3.  小夜と野火

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出典: https://www.amazon.co.jp/狐笛のかなた-新潮文庫-上橋-菜穂子/dp/4101302715/ref=nodl_

 

小夜と野火は

この争いに終止符を打つために

互いに結託して呪者の術を止めようとします。

 

まさか野火に裏切られるとは

思っていなかった呪者を

出し抜くことはできたものの

霊獣にとっての主人は絶対で

思うように攻撃することができません。

 

ついに野火は呪者によって

封印されてしまいます。

 

野火のピンチに駆けつけた小夜は

臆せずあわいに脚を踏み入れ

野火を探します。

 

命の灯火が弱々しくなった野火を

なんとか救い出すために

小夜は呪者に立ち向かいます。

 

そしてついに

小夜は呪者から野火を奪還し

封印を解きますが、すでに消えかけた命は

呪者の霊力と共鳴して

どんどん弱々しくなっていきます。

 

なんとか助けるために

小夜が取った選択は

 

野火を操る狐笛を使い

自分の命を吹き込むことでした。

 

そうすれば野火は助かりますが

小夜は人ではなくなります。

 

それでも躊躇わずに野火を助けた小夜は

あわいを出た時には

人でもなく

狐でもない存在になっていました。

 

野火も霊獣であるため

人の姿にもなれますし

狐の姿にもなれます。

 

よく言えば、これから野火とともに

生きることができますが

もう人里には戻れなくなりました。

 

それでも小夜は笑っていました。

大切な人を助けられたこと

共に歩める未来があること。

 

見た目なんて関係ない。

共に生きようと思える人がいるならば

世間なんて関係ない。

自分の意思で自分の未来を歩むだけなんだと

そんなメッセージを残して

この小説は終わります。

 

少し物悲しい終わり方をしてしまいますが

これを悲恋と呼ぶかどうかは

読者次第だと思います。

 

私は、小夜の後悔のない選択から

この結末はハッピーエンドだと思っています。

 

あなたは、どうでしょうか?

ぜひお手に取って考えてみてくださいね。

 

それでは、今日はここまでにしましょう。

次回は今日と打って変わって

明るいお話にしましょう!

 

ジャンルはコメディですかね。

京都が舞台の

ロクでもない大学生のお話です。

 

お楽しみに!

 

 

狐笛のかなた (新潮文庫)

狐笛のかなた (新潮文庫)

 
月の森に、カミよ眠れ

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