本、読んでみない?

紙の本をこよなく愛する読書マニアによる読書のススメ!本、読んでみない?

世界から音が消える。人が消える。すべてが消える。「残像に口紅を」

皆さんこんばんは!

今日はコメディを紹介する日でしたね。

 

コメディといっても

純粋なコメディから

ブコメなど様々なジャンルがあります。

 

そして今日紹介するのは

ブラックユーモア系です!

 

先日、筒井康隆著の

時をかける少女」を紹介しました。

 

SFとブラックユーモアを得意とする

筒井康隆の小説の割に

 

恋愛、青春、SF

 

爽やかな内容に仕上がっていました。

 

しかし、筒井康隆の魅力は

やっぱりブラックユーモアなんです!

 

今日は再び筒井康隆の著書

残像に口紅を

紹介いたします!

 

1. 「残像に口紅を」の特殊ルール

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作者: 筒井康隆

刊行: 1989年4月

 

この本の最大の特徴は

 

50音の平仮名が

どんどん消えて

なくなってしまうこと

 

にあります。

 

平仮名が消えるとどうなるのか?

 

答えは

どんどん人や物が消えていくのです。

そして最後は物語さえも消えるのです。

 

どういうことでしょうか?

代表的なルールを見ていきましょう。

 

<ルール>

  • 50音の平仮名が1つずつ消え、消えた音を含む言葉は使えない

  (例) 「お」が消えたら

      男(おとこ)

              という言葉が消える

 

  • 消えた言葉は似たような言葉で表現できるが、完全に表現できなくなったらその存在が消滅する

        (例) 「お」が消えて「男」が使えない

                 →代わりに「男性」と表現

                 その後「だ」「ん」「せ」「い」が消えたら

       男、男性、雄など使えなくなり、

                 世界から男が消える

  • 同音(「お」と「を」や「つ」と「っ」)は同時に消える
  • 濁音や半濁音(「た」と「だ」や「は」と「ぱ」)は別々に消える。

※詳しいルールは本編と楽しみながらご確認ください 。

 

2. 「残像に口紅を」のあらすじ

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出典:https://www.amazon.co.jp/残像に口紅を-中公文庫-筒井-康隆/dp/4122022878


 (あ行が消える)

この本は、作家の話です。

彼はベストセラー作家ではなく

のらりくらりと執筆する作家です。

 

(な行が消える)

時々作家友達や編集さんと酒を交わして

ストレス発散する、どこにでも見られる人でした。

 

(ま行が消える)

しかし少しずつ言葉が減ると

言葉は乱雑でカタコトで

やっと言葉が減ったと気づく。

 

(ら行が消える)

どんどん人が減る。

 

 

 

 

 

このようにして

最後の一文字が消えたところで

この小説は幕を閉じるのです。

 

言葉を失った主人公は

これまで平凡だった生活が突然非日常になった瞬間

 

今まで言えなかったことをぶちまけて喧嘩をしたり

 

昔好きだった人に会いにいって気持ちを確かめたりします。

 

その豹変ぶりがなんだか滑稽ですが

 

どうやら人は

言葉という重要なものが失われないと

自分の気持ちに正直になれないようです。

 

あなたはちゃんと

本音を口にできていますか?

 

3. もしも言葉が消えたなら

 

もし、小説と同じように

音がどんどん消えていってしまったら

 

満足にコミュニケーションも取れないし

いつの間にか家族や友達が消えることになります。

 

そんなの、困っちゃいますよね。

言葉をなくして

我々はどのように人と関わればよいのでしょうか。

 

人は

何かを失って

初めてその大切さに気づくものです。

 

もしも言葉が失われて

誰かの存在が消えるとしたら

一番消えてほしくない人は誰ですか?

 

親でしょうか?恋人でしょうか?

 

消えてほしくない人を思い浮かべたら

次にその人と会う時

この小説の話をしてみてください。

 

話し終えたら、

今までならかけなかった言葉を

かけてみてください。

 

その瞬間から、あなたのちょっとした非日常が

始まることを期待して・・・・。

 

 

今日はここらへんで終わっておきましょう。

 

次回は

大好きだった人が消えてしまって

なかなか前に進めない女性の話でもしましょうか。

 

それでは次回もお楽しみに!

 

 

残像に口紅を (中公文庫)

残像に口紅を (中公文庫)

 

  

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