本、読んでみない?

紙の本をこよなく愛する読書マニアによる読書のススメ!本、読んでみない?

いつか消えてしまう。そんな流れ星に願い事を。「流れ星が消えないうちに」

皆さんこんばんは!

 

昨日から朝はひんやり涼しくなりましたね。

 

これから気温差が激しくなってきます。

風邪を引かないように

気をつけましょうね。

 

秋になってくると

次第に夜空を星が彩るようになります。

 

秋の夜空は

カシオペア座

アンドロメダ座が見えてきます。

実は木星も見えるようになるんですよ。

 

なんでこんな話をするかと言うと

今日紹介する本は

プラネタリウム

物語の鍵を握る

恋愛小説だからです。

 

 

そしてその恋は

いとも簡単に

突然呆気なく

消えてしまったのです。

 

まるで流れ星のように。

 

今日の本は 

 

「流れ星が消えないうちに」です。

 

 

1. それは晩夏の夜のような静かな恋

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出典:https://www.amazon.co.jp/流れ星が消えないうちに-新潮文庫-橋本-紡/dp/4101351813


 作者: 橋本紡

刊行: 2006年2月

 

この作品は、2014年に

映画化をきっかけに

新潮文庫の夏の100冊

選ばれるようになりました。

 

人を思う素朴な心

寂しさを乗り越えようともがく不器用さ

まるで夜空のように

そっと優しく描かれています。

 

夏は恋の季節です。

暑さを吹き飛ばすような

燃えるような恋もいいですが

 

ちょうど今くらい、

窓を開けると涼しい風が入り込む

晩夏の夜のような静かな恋

たまにはいかがでしょうか?

 

2. それは夜の闇のように静かな世界

 

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主人公の菜穂子

恋人の加地くんを失ってから

ずっと玄関で寝起きしています。

 

菜穂子には今、巧くんという恋人がいますが

死んだ恋人を思うと、まだ夜もうまく眠れません。

 

しかしなぜか玄関では眠ることができるのです。

 

そんな菜穂子を、巧くんは少しも責めたりしません。

なぜなら、菜穂子、加地くん、巧くんは

高校の同級生であり

加地くんと巧くんは親友でもありました。

 

ふたりは、加地くんの喪失から

なかなか立ち直れずにいたのです。

 

加地くんは、物静かで穏やかな人でした。

でも、ただ大人しいわけではなく

男らしい一面も持ち合わせた人でした。

 

菜穂子と加地くんは小学生の頃からの幼馴染でした。

 

ある日の放課後、下校中の通学路で

加地くんが大きな溝に落ちてしまいます。

 

小学生にとっては絶望的な深さの溝で

とても自力で這い上がることはできません。

 

しかし加地くんは、意を決して登り始めたのです。

少しずつ。少しずつ。

そんな加地くんを応援しながら

必死に手を伸ばしたのが菜穂子でした。

 

菜穂子が加地くんの手を掴んだ瞬間

ふたりは恋に落ちていたのです。

 

それから月日が流れ、ふたりは高校生になります。

 

まだ菜穂子に想いを告げられていない加地くんは

文化祭で披露する、自作のプラネタリウム

菜穂子を誘って告白のきっかけを作ることに決めます。

 

 

その日も夜遅くまで居残りをしている

同じく文化祭の準備で残っていた巧くんに出会います。

 

巧くんは教室の飾り付けに苦戦しており

加地くんはプラネタリウムの基盤の組み立てに苦戦していました。

 

ふたりはお互いの長所を活かし、

それぞれの作業を手伝うことに決めました。

 

巧くんと完成させたプラネタリウム

「流星マシン」と名付けられ

文化祭で音が聞こえそうなほど

たくさんの星を降らせました。

 

 

 

 

その日

加地くんと菜穂子は

付き合うことになりました。

 

 

加地くんは

菜穂子にとっても

巧くんにとっても

大切な人でした。

 

ごくごく普通の人だったけれど

ふたりにとってはかけがえのない人でした。

 

そんな加地くんの喪失は

ふたりの心の中で

加地くんの存在を

ますます大きくしたのです。

 

大好きな人が死ぬよりも

大好きな人を失ったまま生きるほう

よっぽど辛いことを知るのです。

 

それでも、ふたりは生き続けます。

 

加地くんを忘れることはできない。

でも、忘れなくてもいい。

 

加地くんへの想いを抱えたまま

前に進めばいいことに気づいたのです。

 

 

3. それは夜空を照らす満点の星空

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加地くんの死因は

旅先での交通事故でした。

 

世界地図にも載らないような小さな国で

誰とも知らない人と一緒に

 

夜空に落ちる流れ星のように

一瞬で消えてしまったのです。

 

そんなあっという間の別れは

受け入れることも

乗り越えることも

容易にはできないものです。

 

菜穂子も巧くんも

加地くんのことは

きっと一生忘れないでしょう。

 

それでもふたりは歩き始めます。

いえ、最初から歩いていたのです。

 

人は歩みを止めることはできません。

どれだけ悲しくても

どれだけ辛くても

必ず明日はやってきます。

 

菜穂子と巧くんは

加地くんを忘れない決意をします。

 

だって、そう簡単には忘れられません。

そして忘れる必要もないのです。

 

夜空に光る星が、いつか流れ星になったら

二度と元には戻らないでしょう。

 

加地くんも、もう戻りません。

それでも菜穂子や巧くんは

夜空に輝き続けます。

 

それなら、消えた星の分まで

めいいっぱい輝けばいい。

ただそれだけなのです。

 

 

流れ星が消えた後、残るものは何もありません。

そんな儚い星に

人は願い事を唱えます。

 

いつか叶うと信じて。

 

流れ星が消えないうちに

菜穂子が願ったことが

この先ずっと叶いますように。

 

何を願ったって?

それは、本編で探してみてください。

 

 

 

今日はここまでにしましょう。

「流れ星が消えないうちに」

いかがでしたか?

 

静かな晩夏の夜に読むのに

ぴったりの小説でした。

 

次に紹介する本は

また恋愛小説にしましょう。

 

次は鮮やかな青が似合う夏の恋を。

ちょっぴり切なく儚い恋を。

 

お楽しみに!

 

流れ星が消えないうちに (新潮文庫)

流れ星が消えないうちに (新潮文庫)