本、読んでみない?

紙の本をこよなく愛する読書マニアによる読書のススメ!本、読んでみない?

私を食べて。それは死ぬためではなく、生きるための物語。「ミミズクと夜の王」

皆さんこんばんは!

 

前回に引き続き、今日もライトノベルを紹介します。

 

ライトノベルと言っても

実はたくさんの出版社があります。

その中でも特に

私が中学生の頃から読んでいるのが

電撃文庫です。

 

初めて手の取ったのが

前回紹介したキノの旅です。

 

その後も好みのテイストの文庫を

漁るように読み続けました。

 

今日紹介するのは

その中でも特にお気に入りの作品です!

 

表紙から感じる禍々しさ

それでもどこか寂しげな女の子

 

「私を食べて」

 

ミミズクは今日も

願いを叶えてもらうために

夜の王に会いに行きます。

 

 

1. 紅玉いづきと「人喰い三部作」

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出典:https://www.amazon.co.jp/MAMA-電撃文庫-紅玉-いづき-ebook/dp/B00MXRQ2V4


 

作者: 紅玉いづき

シリーズ: 「ミミズクと夜の王」2007年2月

                「MAMA」

                「雪蟷螂」

 

紅玉いづきの作風は

電撃文庫には珍しい童話調です。

 

(ちなみに電撃文庫

割とゲーム小説が多いです)

 

その独特の世界観と

「人喰い」をテーマにした三部作のひとつが

ミミズクと夜の王」です。

 

人喰いがテーマなので

魔物や奴隷などが多く出てきますが

ストーリー自体は

決して陰気な雰囲気ではないのです。

 

例えて言うなら

 

もう誰も住んでいない、

寂れたお屋敷の一室に

スッと月明かりが射し込む

 

そんな雰囲気です。

紅玉いづきが描く

その一筋の光は

まさに、闇の中の1点の光

次第に闇を覆いつくし

周りを明るく照らすのです。

 

照らされた周りを見渡すと

怖いものなんて何もなく

そこには太陽があり、人がいる

暖かさが確かにある。

 

読み終わったあと

自分の中にもポッと明かりが灯ったような

そんな気持ちになれるのです。

 

だから私のお気に入りなのです。

 

ライトノベルだからと言って

甘くみてはダメですよ。

 

 

2. 「ミミズクと夜の王」 あらすじ

 

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出典:https://www.amazon.co.jp/dp/B00MXRQ2OQ/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1

薄暗い森の中には

いつも魔物が潜んでいます。

そしてその森には

魔物を統治する

「夜の王」が住んでいます。

 

ミミズクと名のる少女は

夜の王に自分を喰べてもらうために

魔物の住む森を訪れます。

 

ミミズクはかつて奴隷として

死体廃棄の仕事を行なっていました。

散々こき使われ

きっと心もすり減っていたことでしょう。

 

額に332番の焼印を押され

両手両足に鎖をはめられ

ガリガリにやせ細った身体で

夜の王に会いに行ったのです。

 

「私を食べてよーぅ」

 

死にたがりやのミミズクは

夜の王に笑顔でお願いします。

 

でも、夜の王は

ミミズクのお願いを聞き入れませんでした。

代わりに自分の屋敷に住まわせたのです。

 

 

かつては人として

国王になるべき存在だった夜の王は

人を信じられず、心を許せなくなっていたのです。

 

そんな夜の王の心を溶かしたのが

ミミズクでした。

 

元奴隷のミミズクは

不幸な人生であったにも関わらず

人を幸せにできる力が残っていたのです。

 

いつも笑うミミズクに

心を動かされた人はたくさんいて

その積み重ねが、多くの人の運命を変えるのです。

 

 

3. 文学としてのライトノベル

 

紅玉いづきの小説は

ライトノベルでありながらも

どこか文学のような印象があります。

 

読みやすいけれど

読み手によって解釈が変わる。

読めば読むほど、ストーリーが深まっていく。

 

文学なんて読めないよ!という人に

紅玉いづきの作品はぴったりかもしれません。

 

ちょっと不気味で暖かい

その不思議な世界の扉を

ぜひ開いてみてください。

 

 

今日はここらへんで終わっておきましょう。

次の作品は、文学でも手をつけてみましょうかね!

実は読みやすい文学を紹介します。

 

お楽しみに!

 

 

MAMA (電撃文庫)

MAMA (電撃文庫)

 

 

雪蟷螂 (電撃文庫)

雪蟷螂 (電撃文庫)