本、読んでみない?

紙の本をこよなく愛する読書マニアによる読書のススメ!本、読んでみない?

光と闇に染まらない。それでもそこに心がある。「ノルウェイの森」

皆さんこんばんは!

 

今日も究極のラブストーリーということで

ワクワクしながら書いています。、

 

なぜ人はラブストーリーが好きなんですかね?

 

恋愛を疑似体験できるからか

過去の恋を思い出すからか

今の恋がより輝いて見えるからか・・・

 

恋とは情熱。

一瞬の炎だと私は思っています。

 

燃え上がった炎が照らすのは

これからの未来か

それとも今か

 

ふたつの異なる炎が

ワタナベの心を、その先を照らす。

 

村上春樹代表作にして

究極のラブストーリー

ノルウェイの森

 

1. 月のような陰の人、直子

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出典: ノルウェイの森 上 (講談社文庫) https://www.amazon.co.jp/dp/4062748681/ref=cm_sw_r_cp_api_i_Tv5PDbK96P8JX

 

親友のキズキと付き合っていた直子は

線の細い、物静かな女性でした。

 

キズキが自殺したあと

徐々に心が壊れていった直子を見て

特別な感情が芽生えていたことは

ワタナベも気づいていました。

 

直子はキズキの死から立ち直り

前を向いて歩いているように見えても

どこか脆くて

すぐにでも霞のように消えてしまいそうで。

 

直子の周りに漂うのは

月夜のような静かで澄んだ空気。

それは

死へと一歩、また一歩と

近づいていくような

そんなもの悲しさを秘めていました。

 

直子をなんとか繋ぎ止めるために

ワタナベは施設へ会いに行きます。

 

直子と共に時間を過ごします。

 

それは恋愛なのでしょうか?

キズキの後を担う義務感でしょうか?

 

ワタナベは

直子と同じように

ただ静かに

直子のそばにいるのです。

 

 

2. 太陽のような陽の人、緑

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出典: ノルウェイの森 下 (講談社文庫) https://www.amazon.co.jp/dp/406274869X/ref=cm_sw_r_cp_api_i_Ox5PDbM5ZEBWJ

 

同じ大学で出会った緑は

魅力的な見た目に活発な話し方。

まるでその周りを照らす

太陽のように

生き生きとした空気が漂っています。

 

ワタナベは

緑と食事をしたり

家にお邪魔したり

よく一緒にいるようになります。

 

緑は時々よくわからないことを言いますが

ワタナベは静かに聞いています。

 

まるで、すっかり水を失くしたスポンジに

じんわり水が染み込むように

ワタナベの心に光が差します。

 

ワタナベは緑と過ごす間は

現実世界で息をして

ちゃんと自分の足で立っているのです。

 

 

3. 究極のリアリズム小説

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出典: ノルウェイの森 [DVD] https://www.amazon.co.jp/dp/B005JAENV8/ref=cm_sw_r_cp_api_i_Dy5PDbVSR5YF6

 

ワタナベと直子

ワタナベと緑

 

ふたりの女性はまさに月と太陽

正反対の女性です。

 

そんなふたりの間で

ワタナベはどちらを選ぶのか。

 

ラブストーリーの見せどころですね。

 

しかしワタナベは

結局どちらかを選ぶことも

選ばないこともしませんでした。

 

これは村上春樹の作品です。

起承転結ではないのです。

 

この小説は

誰かが付き合ったり

別れたりするものではありません。

 

人にとって特別な感情に

決まったパターンはないのです。

 

ワタナベは直子に愛を囁くことも

自分の気持ちを伝えることもしなかった。

 

完全に相手に合わせていました。

でもそこには

ワタナベの心がありました。

 

恋愛とは

何のためにするのでしょうか?

 

私は

人の数だけ

恋愛と解釈があるものだと思います。

 

大切なのは

誰かを思うこと。

 

ノルウェイの森

ワタナベが光と闇を彷徨いながら

どちらか一方に染まることなく

自分の足が赴くまま突き進み

ふたりの女性の心に触れた

そんなリアリズム小説です。

 

 

それでは今日はここまでにしましょう。

次回はあまり手を出せていなかった

ミステリーでもいってみましょう!

 

お楽しみに!

 

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

 
ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

ノルウェイの森 下 (講談社文庫)