それは恋より嫉妬。「こころ」
皆さんこんばんは!
今日は夏目漱石を紹介する日です。
また、日本の文学のターンが
やってまいりました!
読まれた方はいらっしゃいますかね?
文学とはどこかお堅く
とっつきにくくて
しかもよくわからない。
その印象を変えることはとても難しいです。
しかし、夏目漱石の作品は
比較的まだ読みやすいような気がします。
特に今回紹介する
「こころ」は
主人公と親友が
同じ人を好きになる話です。
ただ、文学として成り立っている点は
これがただの恋愛小説ではないからです。
主人公はなぜ
後悔しながら死んだのか
さっそく作品を紐解いていきましょう。
1. 無い物ねだりの主人公、先生
出典: https://www.amazon.co.jp/こころ-夏目-漱石-ebook/dp/B009IXKPVY/ref=nodl_
先生はの最期は
後ろめたさと
罪の意識が
スルスル解けていくような
そんな自殺だったと思います。
偶然海岸で出会い、
何かと自分について回る書生に
遺書のような手紙を送ったとき
先生は長年のしがらみから
ようやく解放される安堵を覚えたのでは
ないでしょうか?
まだ先生が若かりし頃
下宿先で出会ったお嬢さんに
恋に落ちました。
美しく、自分よりも大人なお嬢さんは
先生の目にも
そして親友Kの目にも
魅力的に映ったのです。
ここまでは誰もが知る
こころのストーリーです。
問題はここからです。
先生は、本当にお嬢さんのことが
好きだったのでしょうか?
2. 先生の本当のこころ
出典: https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784101010137
先生は
Kに自分の気持ちを正直に打ち明けられた後
明らかに様子が変なのです。
誰に対して?
Kに対してです。
そこはお嬢さんなのでは?と思うのですが
お嬢さんへの気持ちより
Kを妬む気持ちが膨らんでしまったのです。
完全に嫉妬ですね。
自分よりも優秀で
お嬢さんに気に入られているKが
羨ましくて
ついトゲのあることを言ってしまう。
妬みから生まれる汚い感情が
言動に染み出してきて
どうしようもなくなった時
先生はKには告げずに、
お嬢さんにプロポーズして
婚約してしまうのです。
Kが欲しかったものを
先に手に入れる優越感に
浸るために。
3. 優越感は後悔に
出典: こころ 朗読CD付 (海王社文庫) https://www.amazon.co.jp/dp/4796405771/ref=cm_sw_r_cp_api_i_3nEKDbD8WTJEJ
先生とお嬢さんの婚約は
お嬢さんの母親の口から
Kに伝えられました。
自分とお嬢さんの恋を
応援してくれと頼んだ親友が
まさか自分を出し抜くなんて。
Kの精神的ダメージは
想像以上のものでした。
嘆き悲しみ、ついには自殺してしまいます。
それほどまでに
Kのお嬢さんへの想いは強かったのでしょうか?
それとも、先生への信頼が厚かったのでしょうか?
まさか親友が自殺するなんて
思ってもみなかった先生は
自分の嫉妬心が
親友を殺してしまったことに、
そしてKほど思ってはいなかったお嬢さんを
優越感のために妻にしたことに
先生は深く悔いたのです。
そんな先生の罪の意識は
自分の死と引き換えに消えてなくなります。
残されたお嬢さんは
夫が過去を悔いていたとは知らずに
ひとり残されたのです。
人の心とは
まさに十人十色、七変化。
ちょっとしたことで変化し
簡単に白にも黒にもなれます。
先生が妬みに心を支配される前に
Kやお嬢さんの気持ちを考えていれば
ちょっとくらいは
結果は変わったと思います。
でもそれは結果論でしかなく
人を惑わすのは
いつだって人なのです。
厄介なのは相手が意図していなくても
自分の気持ちは左右されることです。
裏を返せば
自分も誰かを簡単に惑わしているかもしれない。
人の未来を変えているかもしれない。
そう思いながら生きていれば
世界はもう少しだけ
優しくなるかもしれませんね。
それでは今日はここまでにしましょう。
次回は人の心を弄ぶ、ちょっと恐い女の子の話にしましょうか!
初めて、ミステリーです。
お楽しみに!